筋膜とは

筋膜の機能
筋繊維で発生した力をまとめ、伝える役割を担っている。
「筋膜が筋の長さを決定する」とも言われているので、”強度”とある程度の”弾力性”が要求される。

“強さ”を保障するのがコラーゲン繊維
これらのコラーゲン繊維や筋繊維が円滑にする働きがヒアルロン酸。

筋膜の伸張性の低下や短縮は、コラーゲンの過剰な結合による結合組織の肥厚や高密度化であるとされている。

12本のライン
筋膜連結には12本のラインがある

■SBL:スーパーフィシャル・バックライン
■SFL:スーパーフィシャル・フロントライン
■LL:ラテラルライン
■SPL:スパイラルライン
■SFAL:スーパーフィシャル・フロントアームライン
■SBAL:スーパーフィシャル・バックアームライン
■DFAL:ディープ・フロントアームライン
■DBAL:ディープ・バックアームライン
■FFL:フロント・ファンクショナルライン
■BFL:バック・ファンクショナルライン
■IFL:同側のファンクショナルライン
■DFL:ディープ・フロントライン


SBL:スーパーフィシャル・バックライン
身体後面全体をつなぎ保護している

前頭骨、眼窩上隆起、冒状腱膜、後頭骨稜、脊柱起立筋、仙骨、仙結節靭帯、坐骨結節、ハムストリング、腓腹筋、アキレス腱、踵骨、足底腱膜、短趾屈筋

足から膝まで、膝から頭部(眉)までの2つの部分から構成
身体を直立伸展した状態に保ち、屈曲する傾向を防ぐ役割
人の発達において、乳児はSBL筋によって頭が持ち上げられ、目を使い、身体の各部は腹部、臀部、膝部、足部の順に下に向かって支えられるようになる。



SFL:スーパーフィシャル・フロントライン
足背から頭蓋側面まで身体の前面全体に接続

頭皮筋膜、乳様突起、胸鎖乳突筋、胸骨柄、胸骨筋、胸骨軟骨筋膜、第五肋骨、腹直筋、恥骨結節、下前腸骨棘、大腿四頭筋、膝蓋骨、膝蓋骨下腱、脛骨粗面、短趾伸筋、長趾伸筋、前脛骨筋、足趾骨背面

・足趾から骨盤まで、骨盤から頭蓋までの2つの部分から構成
・身体前面で起こる反射活動
全身的姿勢機能はSBLとバランスをとり、重心より前で張力により支える
とっさの反応に優れた速筋繊維が多い



LL:ラテラルライン
身体を両側から支える

後頭隆起、乳様突起、頭板狀筋、胸鎖乳突筋、第1、2肋骨、内外肋間筋、内外腹斜筋、腸骨稜、大臀筋、大腿筋膜張筋、腸脛靭帯、腓骨筋、第1.5中足骨底

LLはX字を形成している部分が多い
姿勢では前後のバランスを調整する。両側が働くと左右のバランスを取る作用をする
体幹の外側運動や回旋運動のブレーキとしての調整機能



SPL:スパイラルライン
二重の対向する螺旋で身体を取り巻いている

後頭骨稜、板状筋、C6-T5棘突起、菱形筋、前鋸筋下部、外腹斜筋、腹部腱膜、内腹斜筋、腸骨稜、大腿筋膜張筋、前脛骨筋、第一中足骨、長腓骨筋、大腿二頭筋、坐骨、仙腰筋膜、脊柱起立筋、後頭骨稜

二重螺旋はすべての平面において体のバランス維持を助ける
SPLの遠心性収縮や等尺性収縮は、体幹と下肢を安定化して回旋による転倒を防ぐ



SFAL:スーパーフィシャル・フロントアームライン
母指から胸部前面までを安定させる浅層のライン

鎖骨1/3内側、肋軟骨、胸腰筋膜、大胸筋、広背筋、上腕骨内側縁、内側筋間中隔、上腕内側上顆、手根屈筋群、指の掌側面

身体前面と側面で広範囲に動く上肢の位置を制御する
DFALと連携する



SBAL:スーパーフィシャル・バックアームライン
後頭骨稜、項靭帯、胸椎棘突起、僧帽筋、肩甲棘、肩峰、鎖骨外側1/3、三角筋、外側筋間中隔、上腕骨外側上顆、手根伸筋群、指の背側面

背側のライン (脊柱後面から指先の手背まで)コントロール
肩と上肢の外転を制御する
肩甲帯から胸郭や脊柱(姿勢)が不安定状態の場合に酷使される傾向あり



DFAL:ディープ・フロントアームライン
母指から胸部前面までを安定させる深層のライン

第3.4.5肋骨、小胸筋、鎖骨胸筋筋膜、烏口突起、上腕二頭筋、橈骨粗面、橈骨茎状突起、外側側副靭帯、母指球筋、舟状骨、菱形骨、母指外側

プランクのポーズ
自由上肢では、主に母指を通して手の角度と握力を制御する



DBAL:ディープ・バックアームライン
上部頚椎横突起、下部頚椎、上部胸椎、菱形筋、肩甲挙筋、肩甲骨内側縁、腱板筋、上腕骨頭、上腕三頭筋、尺骨、尺骨側副靭帯、三角骨、有鈎骨、小指球筋


Functional(機能的)ライン
■FFL:フロント・ファンクショナルライン
■BFL:バック・ファンクショナルライン
■IFL:同側のファンクショナルライン
立位姿勢の調整にはほとんど関与しない
主に運動やスポーツ、そのほかの活動時に機能し、四肢の複合体を安定化してバランスを保つ
あるいは反対側との相互作用によって強化される
骨盤帯を基点として、3つのFLが機能的に連結している
複数のライン接続が全身の連続的な力の発揮を可能としている
大きな動きや筋力を発揮する場面で使用されるライン


FFL:フロント・ファンクショナルライン
上腕骨体、大胸筋下縁、第5.6肋骨軟骨、対側の腹直筋外側縁、恥骨結合、長内転筋、大腿骨粗線



BFL:バック・ファンクショナルライン
上腕骨体、広背筋、腰仙連結、対側大臀筋、大腿骨体、外側広筋、膝蓋骨、膝蓋骨下腱、脛骨粗面



IFL:同側のファンクショナルライン
上腕骨体、広背筋外側縁、肋骨端(10~12)、外腹斜筋、上前腸骨棘、縫工筋、鷲足



DFL:ディープ・フロントライン
身体内部の固定や姿勢維持が主な役割

舌骨上下筋、頭長筋、斜角筋、胸内筋膜、横隔膜、腸腰筋、恥骨筋、腰方形筋、大内転筋、長内転筋、短内転筋、膝窩筋、後脛骨筋、長趾屈筋

すべてのラインの中で最も高密度な筋膜で、遅発性、持続性の筋繊維
横隔膜-腰方形筋-腸腰筋の連動で呼吸のリズム、歩くリズムにつなげていく
自律神経節との繋がりが深い(交感神経-副交感神経)